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Before I Wake ソムニア/悪夢の少年

アメリカ映画 (2016)

ジェイコブ・トレンブレイ(Jacob Tremblay)が高い評価を受けた『ルーム』(2015)の後に主演した最初の映画。『ルーム』のような高い評価は得られなかったが、「一家が、少年に憑いた悪魔によって襲われる」という定番を逆手に取り、特殊な才能を持った少年が生む奇跡と悲劇として きれいにまとめた内容は、年齢の割にあどけなく見えるジェイコブにぴったりの配役だ。この種の「あり得ないシチュエーションの映画」にリアリティを求めるのは本来意味がないが、論理的にも、一部を除き破綻なく構成されている。

ジェシーとマークの夫妻は、児童保護局の担当者から1人の里子を紹介される。里子の重大な過去を隠してセールスたっぷりに押し付けるところは、4半世紀前の映画『プロブレム・チャイルド/うわさの問題児』と似ている〔里子の本質がバレた時の開き直りの態度まで〕。その里子コーディは、すごくいい子だったが、ジェシーとマークの夫妻は、すぐ異様な事態に直面する。最初は、美しい蝶の群れが居間に突然現れたのだ。コーディが、事故死した息子の絵に見入っていた夜には、描かれた絵とそっくりの表情をした息子が現れる。口はきけないし、表情も変えないが、触わって抱きしめることもできる。コーディが翌朝、夢のことで謝るのを聞いたジェシーは、よもやと期待し、クリスマスの時に息子を撮影したホームビデオをコーディに見せる。そうすると、その夜、全く同じクリスマスのシーンが居間に出現する。死んだ息子を諦めて、里子としてコーディを引き取ったはずなのに、ジェシーにとってコーディは息子と再会するための道具と化してしまった。そのためには、コーディを眠らせないといけない。しかし、コーディには、眠った時に恐ろしい怪物キンカーマンが現れて、里親が食べられてしまったという苦い経験が過去に何度もあった。そこで、必死に眠るまいとするのだが、どうしても息子に会いたいジェシーはコーディに睡眠薬を飲ませてしまう…

ジェイコブ・トレンブレイは、決して可愛い子役ではない。しかし、『ルーム』で19もの賞を獲得したことからも分かるように、その自然な演技力と、保護したくなるような控え目な雰囲気は独特のもので、2017年以降、主役級の映画が4本も控えている。一番の期待作は、3本目の主演映画となる『Burn Your Maps』(2016)だ。公開は2017年3月で(アメリカとカナダ)、これまで上映された4つの映画祭の結果を踏まえ、現時点でIMDbの評価8.1と非常に高い。


あらすじ

児童保護局の担当者ナタリーが、ジェシーとマークの夫妻に、里子の紹介をしている。「ちょうどぴったりの該当者があります。コーディ。8歳です。3歳の時に母親が死亡。最初に預けた里親は不適合でした。2番目の里親は放棄しました。フォローアップに行ったら、アパートに一人で暮らしていました」。これだけの情報しか与えず、「気がついて、挫けない」と褒め、マイナス面は「慎重で、睡眠問題を抱えている」と軽く流す。すごく無責任かつ不誠実だ。後から、実は、コーディは「放棄」されたのではなく、「里親が行方不明」になっていたこと、しかも、行方不明はこの里親だけに留まらないことが分かる。だから、この担当者は、余程無能なのか、事実を隠して問題児を押し付けたとしか思えない。一方、ジェシーとマークの夫妻は、数年前に最愛の息子ショーンが、バスタブで溺れて死んだことに対し、精神的なトラウマを抱えている。そして、ある日、ナタリーがコーディを連れて夫妻の家にやって来る。迎えに出たマークの「やあ元気かい」の呼びかけ、コーディは「お早う」と元気良く答え、握手の手を差し出す。すごく好感の持てる態度だ。大事そうに持っている紙の箱も、「それ、持とうか?」の申し出に一度は引っ込めるが、「いいとも、君に任せるよ」の暖かい言葉に、おずおずと箱を差し出す(1枚目の写真)。「ありがとう。大切に扱うよ」。家に入ると、床を汚さないよう、すぐに靴を脱ぐ。気づかい度100%。自分の部屋に案内されると、新調されたカーテンは大好きな蝶の柄。「この部屋 大好き」とニッコリする(2枚目の写真)。滑り出しは、最高に順調だ。翌日の初めての学校も問題なく終わり、帰宅してお風呂に入っていると、ショーンの前例があるのでジェシーが心配してノックする(3枚目の写真)。バスタブの周囲に手すりがあるのは、バスタブに滑り落ちても溺れないよう、コーディ用に付けたものだ。
  
  
  

翌日、コーディのベッドの上にパジャマの用意をしていたジェシーは、ベッドの下に置かれた「紙の箱」に気付く。コーディが大切そうに持っていたものなので、悪いとは知りつつ、中をこっそり見てしまう。箱には、蝶のカラー写真集の他、気になるものが1つ入っていた。カフェインの錠剤だ(1枚目の写真)。残念ながら、この容器は市販品ではないので、カフェインの含有量は不明だが、睡眠に障害のある子供が持っているのは極めて不自然だ〔睡眠薬なら分かるが〕。そこで、ジェシーは夜ベッドに入ったコーディに、「昼間、ここを片付けてたら、偶然 興奮剤を見つけたの」と語りかける。「こうふんざい?」。「眠らないようにさせるものよ」。「眠りたくないんだ」。「でも、ここには怖いものなんか ないでしょ」。「いるよ」。「何なの?」。「キンカーマン(Canker Man)」。「どんな人?」。「僕が寝るとやってきて、みんなを食べるんだ。ママも食べられた」。そんなものは ただの思い込みだと安心させようとするジェシーに、「キンカーマンは違うよ」。新しい家にいると言っても、「『いつも一緒にいる』って言ってた」(2枚目の写真)。この言葉の中に隠された恐ろしい事実に、ジェシーは気付いていない。
  
  

その夜、さっそく異変が起きる。夜遅くまで居間で夫妻がTVを観ていると、辺りを蝶が舞い始めたのだ。夜なのに、たくさんの蝶が舞う。蝶は、ジェシーの手にも とまる(1枚目の写真)。調べようと、マークは、ガラスのコップを伏せて1匹捕まえる。その時、風のようなものが一瞬吹き、蝶が一斉に消える。コップの中の蝶まで… ベッドに入ったが眠れないジェシーが睡眠剤を飲みにキッチンに行くと、背後に黒いものが(2枚目の写真の矢印)。キンカーマンだ。しかし、この時は、すぐに消えてしまう。変な音がするので、心配になってキッチンを見ていると、黒い影が階段をトントンと上がって行く(3枚目の写真の矢印)。コーディの部屋を覗きに行くと、ぐっすり眠っていた。後から、コーディは寝ると、いろいろなものに変身して実体化することが分かるので、この時の黒い陰は、形の定まっていないコーディ自身ということになる。
  
  
  

翌日の夜、コーディは居間に飾ってある1枚の絵に見入っていた。コーディが里子に来るということで、それまで部屋中に貼ってあったショーンの写真は全部片付けたのだが、ジェシーの強い希望で、この絵だけは残してあったのだ。マークが寄って行き、2人並んで絵を見る(1枚目の写真)。「どうした? 大丈夫か?」。「あれ、誰?」(2枚目の写真)。「僕らの息子だ。名前はショーン」。写真のように精密な絵だ。「どこにいるの?」。その時、近付いてきたジェシーが「天国よ」と答える。「ママがいる所だ」。「ママは、どんな人?」。「覚えてないの」(3枚目の写真)。この最後の言葉は、映画の最後になって、重要なヒントだったことが分かる。
  
  
  

ベッドでコーディが眠りに落ちると、TVのリモコンに置いたマークの手に、蝶がとまる(1枚目の写真)。マークは、横で寝ているジェシーを起こす。そして、目を覚ましたジェシーが振り返ると、そこには微笑みを浮かべたショーンが立っていた(2枚目の写真)。絵と同じ表情をしている。ジェシーは、ゆっくり近付いていき、息子の顔に手を伸ばす(3枚目の写真)。それは幻でなく、実際に触れることができた。マークも体に触れてみる。思わず息子を抱きしめるジェシー。その時、コーディが目を覚ます。すると、ショーンも影となって消えていった(4枚目の写真)。コーディが、壁にかかっていたショーンの絵をもとに、ジェシーを喜ばそうとする潜在意識を受けて、夢の中で実体化させ、それが居間に現れたのだ。コーディは絵でしかショーンを見ていないので、表情が微笑んだまま張り付いていたのはそのためだ。両親は当然 動揺する。そこに、コーディが階段を降りて来ると、「ごめんなさい」と謝り、冷蔵庫から缶の飲み物を出し、また2階に上っていく。
  
  
  
  

翌朝、朝食時に、コーディが、また「ごめんなさい」と謝る。「何が?」。「僕の夢」。「どういう意味だい? 夢を見るとどうなるんだ?」。「もう二度としないから、怒らないで」。ジェシーは「怒ってなんかいないわ」と微笑んでみせる。この時、ジェシーは決心した。もっと息子に会いたい、声も聴きたいと。そこで、コーディが学校から帰り、夜遅くなると、「ショーンを見たくない?」と誘う。そして、DVDに保存してあったホームビデオを見せる(1枚目の写真)。それは、クリスマスの朝のシーンだった。ショーンは階段を降りて来ると、クリスマスツリーの下に置かれたプレゼントを見て、「彼が来た、彼が来た」と言って喜ぶ(2枚目の写真)。そして、嬉しそうにプレゼントを開け、母子でじゃれ合い、最後には鼻と鼻をこすり合わせる(3枚目の写真)。「エスキモー式のキスよ」とジェシーが説明する。そして、一緒に寝室まで行くと、「昨夜は あまり寝なかったんでしょ。ここでは安心していいの。あなたのおウチよ。さあ、寝なさい」と眠るよう優しく促す。
  
  
  

コーディが眠りに落ちると、期待通り、クリスマスツリーが現れる。舞っている蝶も、電飾のように光っている(1枚目の写真)。期待に燃えるジェシー。そして、階段をトントンと降りる音が聞こえ、ショーンが現れ、「彼が来た、彼が来た」と叫ぶ(2枚目の写真)。ビデオと全く同じだ。ショーンは同じようにプレゼントを開け、ママとエスキモー式のキスをする(3枚目の写真)。それが、今夜観たビデオのイミテーションだと知っていても、3次元立体映像化し、しかも、触ったり話したりできる息子と一緒にいられることは、ジェシーにとって至福の時だった。夫のマークは、しかし、こうした擬似体験には違和感を覚えていた。そこで、キスをし合っている2人に向かって、わざと「コーディ」と呼びかけると、ショーンがキスをやめてマークの顔を見る。夢の中でショーンを演じているコーディが、呼ばれたと思ってマークを見たのだ。その時、コーディの部屋では、キンカーマンが現れ、「いつも一緒にいる」と声をかける。その声にびっくりして目を覚ますコーディ(4枚目の写真)。遂に、この家にもキンカーマンが現れてしまった 〔コーディがキンカーマンにならなければならない状況が生まれていた→コーディへの愛を忘れ、自分を利用して死んだ息子に会おうとする里親が現れた〕
  
  
  
  

小学校の授業中、コーディはノートにキンカーマンの絵を描いている(1枚目の写真)。隣の席の女の子に「それ何?」と訊かれ、「キンカーマン」と答える。そして、「時々、こうすると、消えるんだ」と言って、描いたキンカーマンを塗りつぶす(2枚目の写真)。夕方、マークがコーディを小学校から連れて帰ると、居間の壁一面に、取り外したはずのショーンの写真が飾ってある。もっと別のショーンに会いたいというジェシーがやったのだ。夜になり、ジェシーの「眠らせないと」という一言が、マークの良心を目覚めさせる。「ああ、コーディは寝なくちゃな。だが、何のためだ? ショーンのためか?」。返事がないので、意を決して、壁の写真を外し始める(3枚目の写真)。「何するの?」。「これは間違ってる。あのDVDの時からだ。正しいことじゃない。虐待(abuse)してるみたいだ」。「虐待?」。「そうだ」。「僕らは、あの子の世話をするって約束した。ホームビデオのプロジェクター代わりに使っちゃいけない」。それに激しく抵抗するジェシー。
  
  
  

そして、最初の事件が起きる。コーディが登校した時、不良児に、持ってきたガラス瓶を叩き落とされる。怒ったコーディは図体の大きな相手の腹に一発。負けてはいない(1枚目の写真)。困ったのは授業中。昨夜、一睡もしないよう頑張ったため、眠くなるのに堪えるのに必死になったこと。先生に頼んで放課中、教室で眠らせてもらう(2枚目の写真)。そこに、朝、コーディにちょっかいを出した不良が復讐しようと入って来る。無防備で眠っているコーディ。殴りかかろうとした時、斜め後ろに突然ショーンが現れ、行動をストップ。次いで、背後から不気味な音が聞こえ、振り向くとそこにはキンカーマンが(3枚目の写真)〔当然、ショーンの姿はない〕。不良はキンカーマンに食べられて(吸収されて)しまう。
  
  
  

学校から帰ったコーディは 元気がない。またキンカーマンが現れ、生徒が1人犠牲に(行方不明に)なってしまったからだ。この分では、いつ里親を攻撃するか分からない。だから、絶対に眠ることはできない。コーディがこれだけ悩んでいる一方で、利己的なジェシーは、今夜こそショーンに会えるのではと期待して夜遅くまで起きている。ジェシーが、寝ないようにコーヒーをありったけ作ろうと缶を開けると、挽いた豆は空っぽ。実は、コーディがフィルターに入れて部屋に持って行き、ベッドの上で濃いコーヒーを作っていた。できた濃いコーヒーを我慢して飲むコーディ(1枚目の写真。矢印はフィルター)。コーディは、大好きな蝶の本を読んで時間を潰すが、変な音がしたのでベッドの下を覗いてみる(2枚目の写真)。何もいないので安心して体を起こした時、キンカーマンのつんざくような声に驚き、仰向けに床に落ちてしまう。そして、足を掴まれ、ベッドの下に引きずり込まれそうになる。コーディが起きているつもりだが、半分眠っている。そして、居間で待つジェシーの前にショーンの姿で現れ、助けを求める(3枚目の写真)。2階で大きな音がしたので、ジェシーが急いで駆けつけると、コーディは、「僕は、起きてる!」とくり返し叫んでいた。
  
  
  

翌日は、ストレスに、強度の睡眠不足も重なり、コーディは登校拒否。代わりに、話の分かるマークは、コーディをショッピングに連れ出す。一方、ジェシーは病院に行き、息子が極度の不眠症だからと言って睡眠薬の処方箋をもらう。ここまで来ると悪質だ。マークは、一緒に色々なものを買ってくると、落ち込んでいるコーディを元気付けようと手を尽くす。最たるものが、コーディの部屋のペンキ塗り替え。その間に、ジェシーは、入手した睡眠薬〔ゾルピデム=一番弱い睡眠導入剤で、効果は2-3時間〕をデザートと一緒に持って行く牛乳に混ぜ込む(1枚目の写真)。壁がオレンジ色に塗り変わった部屋では、ベッドに入れられたコーディが、マークから「今日は 楽しかったな」と言われ、「これまでで、最高に素敵だった」と答えるが、薬が効いて眠そうだ(2枚目の写真)。その後も、優しい言葉をかけるマーク。こうして観てくると、コーディはマークがいい人だということは十分承知しているはずだ。なのに、後でキンカーマンに食われるのはマークで、コーディを利用しているジェシーではない。ここに脚本の不自然さがある〔元々 あり得ない設定だが、その中にも一定の論理性がないと、嘘っぽさが際立ってしまう〕。
  
  

マークが、居間に降りて行くと、そこには、またジェシーが待っていた。しかし、マークが説得すると、これ以上ショーンを待ち続けるのはやめて、一緒に寝室に行くことを了解する。しかし、コーディは既に眠りに落ちていた。居間には、クリスマスツリーが現れ、ショーンも現れたが、その顔に笑みはない。ジェシーが屈みこんで「ショーン」と声をかけると、いきなり黒い煙を吹きかけ、口からは蛾が出てくる。そして、ショーンの姿が消えると、ツリーの前の箱の蓋が開き、中からキンカーマンが出てくる(1枚目の写真)。その直前、マークはコーディの部屋に駈け込み、頬を叩いて起こそうとするが、全く起きない。キンカーマンから逃げてきたジェシーも、マークに合流するが、できることは、自分のしたバカなこと(睡眠剤を飲ませたこと)を悔いることくらい。キンカーマンは、2人掛りで押さえるドアを吹き飛ばしてコーディの寝室に入って来ると、何とか防ごうと飛びかかったマークを白い膜で包み込んでいく(2枚目の写真)。マークは、最後には、キンカーマンに吸収されて消えてしまった。これが「食べられる」ということだ。より「悪人」のジェシーは、キンカーマンの振るった腕に飛ばされ、部屋の隅で気絶する。そして、コーディが911に必死で電話している声で気が付く。緊急急報で駆けつけたパトカー。警官は、ジェシーから話を聞いた後、供述調書を取ったら児童保護局に連絡すると告げる(3枚目の写真)。問題視されたのは、里子に睡眠剤を与えた点。ジェシーが抗議しても、コーディは連れ去られてしまう。これで、ジェシーは、夫のマークと里子のコーディの2人を同時に失うことになった。利己的な行為の代償は大きい。
  
  
  

ようやく改心したジェシー。さっそく児童保護局のナタリーに会いに行くが、コーディのことを尋ねても、冷たく「あなたには、もう関係ないことよ」と言われ、逆に、「ご主人はどこ?」と非難がましく訊き返される始末。「分からない。だから、コーディと話したいの」。「それはないわね」。「あの子のことを知る必要があるの。夢についてよ。前から知ってたんでしょ?」。必死の申し出にも、全く答えない非情の女。この映画で一番嫌な存在だ。ジェシーは、ナタリーの目を盗んで、机の一番上にあったコーディに関する分厚いファイルを持ち出す〔ナタリーも、すぐ気付くはずなのだが…〕。ジェシーは、途中で車を停めてファイルの中味を調べる。中には、コーディが、2013年11月26日に里親の元に行き、直後の11月29日に母親が行方不明になったというものもあった。ジェシーの目を惹いたのは、3つ目のウィーランの診断書だった(1枚目の写真)。そこには、「患者は、現在の行方不明の妻が、悪魔に誘拐されたと述べている。患者は理性を喪失し、本人及び他人に危害を与える危険がある」と書かれ、精神病院の名前が記されていた。ジェシーは、早速その病院を訪れ、ウィーランと面会する。資料には、ウィーランとキャサリンの夫妻がコーディを15ヶ月預かった後、ピーターとドリス夫妻の元に預けられ、2人とも行方不明になったとあったことを告げ、「奥さんとそっくりですね」と話し、さらに、自分の夫も捕まえられたと付け加える。ウィーランは、「あの小さな子の夢は 現実になる」「夢は素晴らしく、美しい」「しかし、悪夢は死をもたらす」と話す。そして、「夫はどこに?」の問いに、「分からない」「もし仮に存在するとすれば、それはコーディの心の中でしかあり得ない」と答える。そして、ウィーランは、コーディの思い出を語る。①最初に美しい蝶の群れが現れたこと 〔数週間続いた→ジェシーとマーク夫妻の場合よりテンポはかなり遅い〕。②妻が重症のインフルエンザに罹り、化け物に襲われたこと。③妻が消えた後で、コーディが「ごめんなさい」と謝りに来たこと(2枚目の写真)。④寂しくて、妻を出してもらおうと、何枚も写真を見せ、それらしきものが現れたこと(3枚目の写真)。⑤しかし、「それ」は、もちろん本人ではなかったし、コーディが幼かったため、人間の顔ですらなかったこと。⑥コーディが憎くなり拳銃で撃ち殺そうとしたが、できなかったこと。そして、最後に、「もし殺していたら、あなたのご主人は生きていた」と語り、コーディを殺すよう強く勧める。
  
  
  

ジェシーは、謎の鍵は、コーディの母親にあると考える。そして、児童保護局の一番最初の記録から、コーディが3歳の時に死亡した母の入院先、マリオン総合病院を訪れる。病院では、看護婦を装い、担当医から資料を取って来いと言われたと嘘をつき、コーディの母の診断書を調べる。そして、そこに記載されていた所持品の番号に気付く。因みに、日本版のDVDの訳は結構正確だが、ここだけは完全に間違っている。「所持品」を「診断書」と訳しているのだ。「PE」と字幕にあるが、どの辞書を見ても、それが「Personal Effects(所持品)」の略だとは書いてない〔一般的には「Physical Education(体育)」の略〕。だから、よく分からないまま適当に訳したのであろう。受付は、PE番号のことを訊かれ、「もし誰も返還を求めてないなら、地下に残っている可能性も」と答える。ジェシーは、①患者死亡、③3歳の遺児は児童保護局が引取り、という状況なので、コーディの母の遺留品は保管されている可能性が高いと思い、保管室へ捜しに行く。幸い、ダンボール箱は手付かずのまま残っていて(1枚目の写真)、中には、入院時に履いていた靴もあったが、最も貴重な物として、蝶の縫いぐるみと、母親の日記が出てきた。一方、コーディが収容された施設では、ナタリーが、「誰も傷付けたくない!」と暴れるコーディを押さえ付け、強引に注射で眠らせるようとしていた(2枚目の写真)。コーディが睡眠に入ると同時に、施設内には蛾が群れをなして飛び始める。ジェシーは、コーディの母の日記を読み、状況を把握すると、次の段階として、ナタリーの振りをして、電話で保護局に電話をかけ、コーディの収容された施設を聞き出す。そして、真夜中に施設内に入って行く。壁には蛾の幼虫の吐き出した糸で、ナタリーが固定されている。そして、ジェシーがコーディの部屋に一歩足を踏み入れると、いきなり現れたキンカーマンに投げ飛ばされる。立ち上がったジェシーに向かって、つんざくように叫びながら突進するキンカーマン。ジェシーは、遺品の「蝶の縫いぐるみ」をかざす。それを見たキンカーマンは、急にスピードを落とし、縫いぐるみを見ながらゆっくりと近付いてくる(3枚目の写真。矢印は縫いぐるみ)。じっと立ち尽くすキンカーマンに向かって、ジェシーは手を伸ばし、抱きしめる。すると、キンカーマンはどんどん縮んでいって、最後にはコーディの姿に変わる(4枚目の写真)。そして、その分身もさっと消え、残るのは、ベッドに寝たままのコーディ本人のみ。ジェシーは、そのコーディの胸の上に蝶の縫いぐるみを拡げて置き、ベッドから抱き上げて施設から出て行く。
  
  
  
  

自宅に戻ったジェシーは、コーディに母の日記を渡す。そこには、コーディは、生まれた時から特殊な能力を持っていたと書かれていた。そのコーディが魔法のように出して見せる蝶をかたどって母が作ってくれたのが、蝶の縫いぐるみだった。母と2人だけで暮らした幸せな2年半。そして母は膵臓癌に襲われる。ここからは、日記が白紙になっている。ジェシーは、診断書の記録に基づき、コーディに入院後の母の様子を話して聞かせる。まず、コーディに診断書の病名「pancreatic cancer」を見せ、「この言葉 見える?」と訊く。コーディは「きゃんかー?」と意味不明のまま、間違って発音する 〔キンカーマンはここから来ている〕。そして、母の病状についてコーディに説明する。膵臓癌の進行は非常に早いので、母の姿があっという間に変わってしまい、最後に会った時の顔は、毛髪もなく、げっそりと痩せていたと 〔キンカーマンと同じ姿〕。そして、母が最後に言った言葉が、「いつも一緒にいる」だったと 〔一体どうやって、ジェシーはそんなことまで知り得たのだろう?〕。そして、コーディが成長し、記憶が曖昧になると、「キャンカーがママを食べた」と言うようになったとまで話す 〔ジェシーに分かってたいたはずは絶対ない。さらに問題なのは、キャンカーと発音したのは、コーディに診断書に書かれた文字を見せた時だ。コーディは3歳で児童保護局に引き取られ、その後は、母の死因については知る機会はなかった。2-3歳の子に、もし医者が母の病名を教えたり、母が自ら教えたとすれば、口頭で説明しているはずで、それならば「キャンカー」とは言わない。それなのに、なぜジェシーに引き取られる数年前からコーディは「キンカーマン」という呼称を使っていたのであろう?〕。こうして、コーディは自分の空想がすべてを作り出したことを納得する。その後で、ジェシーは、ショーンと会いたくてコーディを利用したことを誤り、二度としないと誓う。夜、一緒にベッドに入ると、ジェシーはコーディから寝る前のお話しをせがまれ、ある一人の少年の話を始める。特別な才能を持った少年の話だ。その物語の中では、学校の不良は、何事もなかったようにベッドで目覚め、かつて少年に優しく接してくれた女性〔ウィーランの妻キャサリン〕は、夫の元に戻る。ジェシーの心の中には、マークが戻って来て欲しいという願望が当然あったはずで、その期待感が、「あなた次第よ(I guess that depends on you)」という言葉に凝縮されている。「あなたは、素晴らしい才能を持っている。それが育っていけば、どんなことが起きるか誰にも分からない」(1枚目の写真)。コーディが左手を上げて念ずると、そこに1匹の蝶が出現する(2枚目の写真)。将来マークが戻ってくることを暗示するシーンで映画は終る。
  
  

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